すべての人が知っておきべき考え方『心理学「行動分析学」』

心理学の一つである「行動分析学」。これを知り、私の物事や対人関係に関する考え方は大きく変わりました。より多くの人にこの「行動分析学」という考え方を知ってもらいたくはじめました。時間があるときに上げるので、更新は不定期です。

「行動分析学」ってなに?

 

 

 

 

 

 

 

さて、これから行動分析学とはなにか?

を説明していこうと思うのだが、

 

その前に一つ。

あらかじめお伝えしておかなければいけないことがある。

 

それは

私はこの行動分析学の専門家では決してないということだ。

ただの行動分析学というものに感銘を受けた一般人である。

そのため、もし私より「行動分析学」に詳しい方がこのブログを読み、

指摘したい点などがあったらぜひ遠慮なく言ってほしい。

 

 それでは、本編へ。。。

 

 

 

 

 

行動分析学」とはなにか。

それを難しい言葉で説明するのは簡単だが、それでは読者がいなくなる。

まず読者の方々にこの「行動分析学」に興味を持ってもらわなくてはいけない。

専門用語を出すのはそれからだ。

 

 

というわけで、行動分析学とは何かがわかる取っ掛かりとして

ある実験を紹介したいと思う。

 

 

 

皆さんは

パブロフの犬

という実験を知っているだろうか?

名前だけは聞いたことがあるという方もいるだろう。

 

全く知らないという方のために実験内容をざっくりと説明したいと思う。

 

この実験はロシアの生理学者イワン・パブロフ

 

 

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イワン・パブロフ(注:行動分析学者でも心理学者でもない)

 

 

イヌの唾液分泌に関する実験を行っていた際、偶然発見されたものと言われている。

実験の手順は

  1. イヌにメトロノームを聞かせる。(ベルホイッスル手拍子 ・足踏みと言う説もある)
  2. イヌにえさを与える。イヌはえさを食べながらつばを出す。
  3. これを繰り返す。(上記の二つのプロセスを条件付けという)
  4. すると、イヌはメトロノームの音を聞いただけで、唾液を出すようになる。

                              (wikipediaから)

                                  である。

 

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パブロフのイヌ

 

要は条件反射の実験だ。

メトロノームの音がした後、エサが出てくる。

また、メトロノームの音がした後、エサが出てくる。

 

 

この工程を繰り返すことで、実験台のイヌにとって

メトロノームの音=エサ」という条件付けが完成し、

イヌはメトロノームの音を聞くだけで(たとえエサが出てこなくとも)

口から唾液が出てしまう。

非常に有名な実験だ。おそらく教科書にも出てくるのではないだろうか?

(私は完全なる文系なので、理系の教科書はさっぱりなのだが・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この実験。

「ワンコは単純だなぁ。ハハハ!」で終わってはいけない。

この条件反射、当然ながら人間にも備わっている機能である。

 

 

例えば時計。人間は意外と(自分たちが思っている以上に)時間というものに左右されて生活している。

 

あなたがふと時計を見ると、その針は昼12時ちょうどを指している。

あなたはどうなるだろう?

 

 

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お腹が空いてきたりしないだろうか?

(私自身この時計を見たら、なんだかお腹が空いてきた。)

 

あるいは、

「さっき朝食を食べたばかりなのに、

            もう昼(12時)かと思ったらまたお腹が空いてきた・・・」

 

なんて経験はないだろうか?

いわゆるこれも条件反射である。

 

 

 

 

昼(12時)になったら昼ごはんを食べる。

昼(12時)になったら昼ごはんを食べる。

 

この工程を繰り返しているうちに人は、先ほどの「パブロフのイヌ」と同じよう

「昼(12時)=ごはん」という条件付けが完成し、

12時の時計を見るだけでお腹がグーとなる現象が起こってしまうわけである。

 

 

 

 

以上がこの「パブロフのイヌ」という実験の紹介である。

 

 

 

 

 

・・・おいおい、これじゃあ「行動分析学」の説明じゃなくて、「条件反射」の説明ではないか!と思う方もいるだろう。

 

 

しかし、これに似た実験を行動分析学者もまた行っているのだ。

もう一つ実験を紹介したいと思う。

 

この実験を行ったのは、バラス・フレデリック・スキナー(以下スキナー)という行動分析学者だ。

 

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B.F.スキナー(こちらは正真正銘、行動分析学者)

 

ちなみに彼は行動分析学の第一人者であり、最も有名な心理学者の一人である。

彼が行った実験で有名なのが

「スキナー箱」

と呼ばれる実験だ。

 

「スキナー」というくらいだから当然箱を使った実験である。

箱の大きさは大体30センチ立法。ネズミやハトなど小中動物が入る大きさだ。

 

この箱には2つの機能がついており、

 

一つは「キー」と呼ばれる小窓だ。

この窓は光が照射される仕組みになっており、その色はの2色。

 

もう一つはエサ箱。ここからは当然エサが出てくる。

しかし、条件が一つだけあり、このエサ箱は緑の光が照射されているキーをつついた時にのみエサが出てくる仕組みになっている。

 

 

 

以上を踏まえた上で、今回はハトを例に説明してみよう。

 

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『スキナー箱』

 

この「スキナー箱」に1羽のハトを入れる。(ちなみにこのハトはキーをつつくように訓練されている)

 

しばらくして、の光を照射しているキーをハトがつついたとする。

すると、エサ箱からハトのエサが出てきた。ハトは当然エサを食べる。

 

次にの光を照射しているキーをハトがつついたとする。

しかし、エサ箱からはエサも何も出てこない

 

 これを1日に20分など、日ごとに時間を決めて何日も訓練していく。

 

 

 

 

すると、どうだろう?

最初はキーの光が緑だろうが赤だろうが、関係なくつついていたハトだったが、

1週間もするとハトにある変化が訪れる。

 

 

キーから赤の光が照射された時、

        ハトは全くキーをつつかなくなるのだ。

逆に緑の光が照射された時にのみ、ハトはキーをつつきエサを出す。

 

 

 

 

 

 

このような光景は動物園などでよく見られるかもしれない。

 

例えば、

あるボタンを押すと、バナナが落ちてくると知っているチンパンジーであったり、

ふれあい広場のような場所で、来園者に近づくとエサがもらえることをわかっている馬やロバなど・・・

 

 

心当たりのある方も多いだろう。

この時、重要なのは知能の高さ低さではない。

なぜ、そのような行動をしているか?なのである。

 

 

彼ら(チンパンジーや馬、ロバ)も最初からその行動をしていたわけではない。

偶然ボタンを押したり、たまたま近くに来園者が来たという段階からはじまっている。スキナー箱のハトと同じように、それを何回も何回も繰り返していくうちにその行動が身についていったのだ。

 

 

 

 

では、この実験を

人間に置き換えて考えてみると

どうだろう?

 

 

 

ある一つの家族を想像してほしい。

二人の両親と一人の子供。仮にこの子供をA君としよう。

 

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A君がリビングにいると、時刻はちょうど3時。

おやつの時間だ。

 

A君はお母さんに

 

「ねぇねぇ、お母さん。3時だよ?何かおやつちょうだい?」

 

とおねだりをした。

すると、お母さんは

 

「わかったわ。ちょっと待っててね?」

 

と冷蔵庫からケーキを出し、A君の前に出してくれた。

 A君は嬉しそうにそのケーキを食べる。

 

 

 

 

また別の日、時刻は3時だ。

今度はA君はお父さんに

 

「ねぇねぇお父さん。3時だよ?何かおやつちょうだい?」

 

とおねだりをした。

しかし、お父さんはパソコンに向かい、何やら忙しそうにしていて

 

「お父さんはいま忙しいから、自分で探しなさい。」

 

とA君に言った。結局、お父さんからおやつが出されることはなかった。

こんなことが何回も繰り返される。

するとA君はどうなるか?

 

 

A君はお父さんに対しては全く

     「おやつを出してほしい」とねだらなくなる。

逆にお母さんに対してのみに「おやつをだして!」とねだることになる。

 

 

この経験をしたA君はおそらくお母さんとお父さんが同じ場所にいたとしても、

お父さんがたとえ忙しくしていなくても、お父さんには聞かず、

お母さんに対してのみ「おやつを出して」とねだるようになるに違いない。

 

 

これはスキナー箱の実験における

緑の光がお母さんに、

赤の光がお父さんになったわけだ。

(当然、ハトがA君である。)

 

 

 

 

 

以上が行動分析学「スキナー箱」の実験だ。

もしかしたら、

「心理学っぽくない」

という感想を抱いた方もいるかもしれない。 

確かにこの「行動分析学」は心理学というより生物学や生態学だとかに近い。

心理学の一つでありながら、かなり論理的に説明するのだ。

 

「・・・は優しいから、」とか

「・・・は羞恥心から」などの心的な説明は一切しない。

 

 

先ほどのA君であっても

「A君はお父さんが嫌いだから」なんていう説明はしないのだ。

あくまでA君はお父さんに聞いても、おやつをくれないからお父さんにねだらないのであって、ここにお父さんやお母さんに対する感情は含まれない。

 

 

 

 

 

 もしここでお父さんが

 

「A君がお母さんに対してしか、ものをねだらなくなりました。

どうすれば自分にも、ものをねだってくれるようになりますか?」

 

 

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なんて質問をしたとする。(実際にはなかなかないだろうが)

この時、つい

「お父さんとA君との信頼関係をもっと強固にするべきです!」

だったり

「お父さんはちゃんとA君のことをちゃんと見てあげていますか?」

などのようなお父さんとA君との関係性に注目した答え方をしてしまいがちである。

 

 

しかし、行動分析学ではそのような答え方はしない。

 

「お父さんは過去にA君がものをねだった時にそれに応えなかった。

それが原因である。お父さんが再びA君からものをねだってほしいのなら、お父さんがそれに答える必要がある。」

と答えるだろう。(もちろんこれはあえて専門用語を使っていない回答だ。)

 

 

要はお父さんがケーキをあげたお母さんのような対応をすることで、

初めてA君からねだられるようになるわけだ。

 

 

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さて、今回は行動分析学が何かを理解してもらうために

「パブロフのイヌ」と「スキナー箱」を紹介した。

今回の記事で「行動分析学」に興味を持ってくれた人が増えてくれたらうれしく思う。

 

 

 

 

 

 

 最後に

行動分析学の目的と概念について話しておこうと思う。

 

まず目的、

 

行動分析学の目的とは、

      その行動の問題を解決することにある。」

 

 

 次に行動分析学の概念。

 

行動分析学とは・・・!

『人間や人間以外の動物の行動には、

          それをさせる原因があるのであり、

行動分析学」はその原因を解明し、

   行動に関する法則を見出そうとする科学である。』

             (行動分析学入門ーヒトの行動の思いがけない理由より)

 

 

 

 

 

人や動物が行う行動には原因と法則が必ず存在する。

原因と法則がわかれば、その行動を変えることもできる。

行動に何か問題があれば、それを解決(修正)することだって可能なのだ。

 

問題行動、例えば

二度寝」「遅刻」「タバコをやめたくてもやめられない」「さぼり」など・・・

 

これらの問題は行動分析を使えば、大概解決できる。

(論理的には)

 

 

 

 このブログでは、数々の問題行動を例題に出して

それを行動分析学で分析、そして解決していこうと思う。

 ぜひ楽しみにしていてほしい。

 

 

 

 

 

長くなったが今回はここまでにしたいと思う。

次回は行動分析学の基礎について話したいと考えている。

それではまた次回。。。