すべての人が知っておきべき考え方『心理学「行動分析学」』

心理学の一つである「行動分析学」。これを知り、私の物事や対人関係に関する考え方は大きく変わりました。より多くの人にこの「行動分析学」という考え方を知ってもらいたくはじめました。時間があるときに上げるので、更新は不定期です。

『動物に芸を覚えさせる方法』(行動分析学:基礎「好子」編)

 

 

こんにちは、コバンザメと申します。

(今更だが、まだこのブログで名乗っていないことに気が付いた。)

 

 

 

このブログは心理学の一種である行動分析学について解説、紹介していきます。

 

経緯についてはこちらをどうぞ

koudoubunnseki.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

さて 早速だが、本題に入ろうと思う。

 

 

今回から行動分析学の基礎を紹介していく。

 

 

その中でも今回は基礎中の基礎である

 「好子」

について紹介する。

 

 

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この「好子」という単語を聞いたことがある人は少ないと思う。

この「好子」は行動分析学の代名詞とも言えるほどの専門用語であるが、

日本の優秀な行動分析学者たちが作り出した造語であるため

辞典や辞書で調べてみてもそんな言葉は存在しない。

 

 

あのウィキペディアでさえも

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                               (wikipediaから)

 

これしか書かれていない。

おそらくこれは、この「好子」というページを書いた人でさえ

「好子」という言葉の意味を詳しくはわかっていないということだと私は推測した。

 

というわけで、ここだけの話、

私の目標はこのブログで行動分析学と共にこの「好子」という言葉を

よりよく浸透させることに決定した。

 

 

 

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話が若干逸れたが、さっそく『好子』を説明していきたいと思う。

 

この『好子』とはなにか?

最初に定義を言ってしまいたいと思う。

 

 

好子とは、

行動の直後に(好子が)出現した時、

行動が強化(増加)される刺激や出来事。

のことである。

 

 

 

さすがにこれだけで理解できた人は少ないだろうから、

例を出そうと思う。

 

 

 

あなたは道を歩いていた。

しばらく歩いていると、道端にゴミが落ちているのをあなたは発見する。

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普段ゴミ拾いなんてことは、特別しないあなただったが

今日は気まぐれにそのごみを拾い、近くのゴミ箱に捨てた。

 

すると、どうゆうことだろう!

 

いきなり、道の角から現れた裕福そうなおじいさんが

 

「一部始終を見ていたよ。道端に落ちているゴミを拾ってゴミ箱に入れるとは。

あなたはなんて善良な人間なんだ!これを差し上げよう!」

 

と言って、あなたが今一番欲しかったもの(ここはそれぞれの想像力で補ってほしい)を渡してきたではないか!

 

 

 

 なんとも不思議な体験だった。。。

こんな経験をしたあなたは今後どうなるだろう?

 

 

 

おそらく、

多くの人は「ゴミを拾う」という行動が増えるに違いない。

 

もしかしたら、またごみを拾ったらあの裕福なおじいさんが出てきて、何かくれるのではと期待しゴミを拾うのではないだろうか?

少なくとも、あなたは以前より道端のゴミを拾う回数は多くなるはず。。

 

つまり今回はこの「ごみを拾う」という行動が強化(増加)されたわけだ。

その原因はというと?

 

そう。「欲しいものをもらった」ということが

「ごみを拾う」という行動の直後に起こったからである。

 

この「欲しいものをもらった」というのが

今回紹介した『好子』になる。

 

 

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行動随伴性のダイアグラム(ゴミ拾い)

 

 

 

 

このように、

好子はとある行動の直後に出現した時、その行動が強化(増加)される。

 

 

 

 

 ゴミ拾いの例はわかりやすさのため、多少極端だがこの『好子』

日常的にいたるところに存在する。

 

 

例えば、今現在は3月下旬だが気温はまだまだ寒い。

外に出るとき、上着を羽織る人は多いだろう。

それはなぜか?

上着を着たら、「暖かくなる」からにほかならない。

 

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行動随伴性のダイアグラム(上着

 

では、

電気をつける時、スイッチを押すのは?

電気がつくから。

 

水が欲しいとき、蛇口をひねるのは?

水が出るからである。

 

これらの当たり前だと思っている我々の行動にも、好子が関係している。

 

 

 

 

では、次にこの

『好子出現による行動の強化』

          を利用してみよう。

 

 

行動の直後、好子が出現すると、その行動は強化(増加)する。

つまり、言い換えれば

 

好子を出現させれば、その行動を強化できるということになる。

 

 

 

 例としてわかりやすいものは

「動物に芸を覚えさせる時」

だ。

 

 

 

あなたはワンコを飼っていた。

そして、あなたはこのワンコに「お手」を覚えさせたい。

その時、あなたはどうすればいいのか?

 

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おさらいをしよう。

行動をした直後に、好子が出現するとその行動が強化(増加)される。

 

 

つまり、ワンコが「お手」をした直後に

あなたはワンコに対して好子を与えればいいわけだ。

先ほどの極端な例でいえば、あなたが裕福なおじいさん側の立場になればいい。

 

 

では、好子は何がいいだろう?

考えられるのは、

エサやおやつを与えたり、精一杯褒めてあげたり・・・などだろうか。

簡単にいえば、そのワンコが喜んだり得をしたと感じるようなことをしてあげるのだ。

 

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行動随伴性のダイアグラム(お手)

 

 

 

もし、あなたがこれを実践しても動物が芸を覚えない。

と、言うならそれはその好子が弱い可能性があげられる。

 

エサをあげていた場合、そのエサは実はあまり好きではなかった。であったり。

褒めていたのなら、褒める量が足りない。           であったり。

 

重要なのは、

その動物にとって本当に好子(行動の直後に出現した時、行動が強化される刺激)を与えているかである。

 

 

残念ながら、好子というものは、

それが本当に好子かどうかはその行動の増減でしか判断できない。

だから、もししばらくその好子を与えてみても、芸を覚える様子がないならば、

好子を増やしてみたり、好子を変えてみる必要があるかもしれない。

(具体的にはエサを変えてみたり増やしてみたり、褒めるなら褒め方を変えてみたり増やしてみたりだろう。)

 

 

 

 

 

 

 

こんな話を聞くと、

動物を飼った経験がない人も心当たりがある人があるひとがいるかもしれない。。

 

例えば水族館。

イルカやアシカのショーだ。

水中から空中へのハイジャンプからの

ボールタッチや輪っかくぐり。

 

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  さまざまな芸を披露した後、

イルカたちは逐一スタッフの元に戻り、あるものをもらう。

それはそう、魚。つまりエサだ。

 

 

彼らにとって魚は『好子』となっているわけだ。

ショーが終わってから、

魚をいっぱいあげればいいじゃないかと思う人もいるだろうがそれは違う。

あの魚は芸をした直後でないと意味がないのだ。

 

なぜなら

好子は行動の直後に出現した時、行動が強化される刺激だからである。

もし、芸をしても魚が得られないのならイルカたちは芸を段々しなくなるだろう。

(たとえショーが終わった後にたくさんもらったとしても)

 

 

 ちなみに直後とはどれくらいの時間なのか?

 

それを疑問に思う人もいると思う。

実はこれも行動分析学の指針として、具体的な時間が決められている。

 

その時間は60秒以内

行動分析学では60秒ルールと呼ばれている。

まるで食べ物を落としてしまった時の、緊急ルールみたいだが

このルールは別に1分以内に好子を与えればいいというわけではない。

 

早いなら早いほど、好子は早く与えた方がいい。

 この60秒という数字はあくまで指針だと理解してほしい。

 

 

 

 

今回は行動分析学の基礎『好子』を説明した。

今更だが、人にものを説明するということは非常に難しい。

もし、よくわかんらないという人がいたら、ぜひ気軽にコメントしてほしい。

 

 

次回も、もしかしたら好子の説明をまたするかもしれない。

その必要がなければ、次のステップ嫌子の説明に入ろうと思う。

 

 

それでは、また。